人気ブログランキング | 話題のタグを見る

おどろき漫画

僕はバイト先が漫画喫茶なので、バイト中に漫画を読むことができる。バイト先のもう辞めたおじさんの勧めでうしおととらを全巻読んだときはとても感動して「僕もうしおのように強く正しく誰に対しても優しい男になりたい」と思っていた途中に、客にカウンターのベルを鳴らされ「ハンバーグ定食一つ」と少しだけ面倒なフードの注文をされて思わずため息をついてから「わかりました」と負けを渋々認める弁護士のようなトーンで言ってしまい、言ったあとにうしおはハンバーク定食一つくらいで負けを認めた弁護士にはならないと思うがもう遅く、ああ、とハンバーク定食にとりかかる。まあでも面倒なものは面倒なのです。ケチャップとハンバーグソースとウスターソースを混ぜてオリジナルのハンバーグソースを作る工程を毎回やる度に何で深夜3時にこの漫画喫茶オリジナルの味のソースを作らないといけないんだ、と思う。うしおは敵の妖怪すら助けようとしたりしていたけど、僕は客のハンバーグのオリジナルソースを作るのすらしんどがっている。

漫画喫茶の仕事の一つに客の使い終わったブースの清掃がある。そこにはたまに客が読んでいった漫画が放置されているのでそれを回収して本棚に戻すというのも仕事のひとつである。フケだらけ飲み残したグラスだらけお菓子の食いカスだらけパソコンの画面にはアダルトビデオがつきっぱなしという最低の使用後ブースに「心が叫びたがってるんだ」がぽつんと置いてあったりするとお前みたいなやつがこの漫画から何かを吸収することは一切ないと怒りながら掃除したりしていると床に思いっきりでかい鼻くそが捨てられていたりして人間の、こんなにでかい鼻くそを、今から自分が捨てないといけないというのに強く嫌な気持ちになってオペのような繊細さでティッシュ越しに鼻くそをつまみ、手にまだ残ってる固さを感じながらゴミ箱に捨てる。
客がこういうふうに置いていった漫画で、たまに面白そうなものがあるとそれを読むことができるというのはしかし楽しい。

この前も「クロスアンドクライム」という漫画が客のブースに放置されていて、何気なく読んでみると心を大きく掴まれた。クロスアンドクライムのあらすじをざっくり説明すると「超有名なバンドのボーカルが実はゲイで、高校時代の先輩のことがすごく好きでメジャーになった今もその先輩に自分のことを覚えておいてもらいたいというモチベーションで活動していて、その先輩は今は新聞記者になっていて取材を通して久々に再開。しかしそこにそのバンドのファンだという先輩の彼女もついてきてめちゃくちゃ嫌な気持ちになったボーカルのゲイが
嫉妬と辛さで爆発して様々な行動を起こす」というようなものなのですが、僕は自分がここまで共感できる漫画というものに出会ったことがない、というくらい共感した。

そもそも僕がお笑いを始めた動機付けの一つに「売れて後輩君(好きな男の子)と温泉旅行に行くロケをする」というよなものがあり、それはまあ距離が離れてしまってもテレビなどの活動を通じて俺頑張ってるよというのを見せれるというのようなもである。この漫画の超有名なバンドのボーカルもそれと同じようなことを言って頑張っている。これはこれはと思って読み進めていくとこの漫画の中の台詞でそのゲイのボーカルと高校時代の先輩が久しぶりに再開してお酒を飲んでいてた時に、先輩の彼女が先輩の飲み過ぎを制した時に裏に言って一人で「何年振りかの再開で気持ち良く飲んでた酒をあの女は女房面で・・俺の大切な時間をブチ壊しやがった!!・・気にくわねえ」という台詞があり、これは、こんなに、自分の嫌な状況と感情を説明して嫌さが伝わる台詞は過去の漫画史においてあったでしょうか?と思うほどこのボーカルが可哀想だなと思い、読み進めていくと、酔いつぶれた先輩をかついで、先輩の彼女に向かって「俺が男子トイレに連れて行ってくるよ。アンタはここで待ってて」と吐き捨てる名シーンがまで出てきた。

わざわざ「男子トイレ」と言いますか?トイレ、と言えばいいものを先輩の彼女に向かって「男子トイレ」と言い放つことでお前は入れない領域だというアッパーカットを繰り出していてこれはもうこの漫画がすごい!2016年 木田部門1位確実。すごい。発行は2009年て書いてるけどノミネート・・と思っていると、段々雲行きが怪しくなってきた。
色々あってこのゲイの主人公は先輩のその彼女とSEXをします。先輩の彼女が自分たちのバンドのファンということを利用してレイプのようにその彼女を犯し、先輩の抱いた女を抱くことで先輩に抱かれたような気持ちになる。という理屈でした。なるほど、なるほど、と思いまあ犯罪までいってしまった偏愛の道中。切ないね。高尚。と思いながら読んでいると、女のほうもめちゃくちゃ嫌がってはいるがまんざらではない、好きなバンドのボーカルに抱かれて、嫌だけど、本当は彼氏としかエッチしたくないけど実は有名な人に抱かれて舞い上がってた・・という気持ち悪すぎる設定がでてきておいおい気持ち悪すぎる。彼氏しっかりしてやれよと思ってたら彼氏は彼氏で出張先の家に家で若い家出女を住ませていて(彼女ごめん!)と思いながらその女とSEXしている。キモい。(彼女ごめん!)じゃない。全員SEXしてる。だいたいなんでそんな男の人に魅力を感じて、どこをそんなに好きになったのか・・と思いながらまあそれでも我慢して読み続けていくと、とうとう4巻でゲイのボーカルが「くそ・・逢いてえ・・」とその先輩の彼女を思い出しながら泣くというシーンがきた。

読んでいくとその先輩の彼女とSEXしすぎてその先輩のことよりその先輩の彼女を好きになってしまったらしい。ふざけんなよ気持ちの移り変わりが早すぎるだろ。葛藤とか、もうちょっと、せめて、ないのかよと思っていると6巻でとうとうそのゲイのボーカルが先輩の彼女に野外でクンニして「(美味しい・・)」と言っていたので読むのを辞めた。なんでこの前までゲイだったやつが半年くらいで野外で女にクンニしてるのか。「(美味しい・・)」じゃない。偏愛の道中も高尚も糞もない。この前SPA!に「今読むべきブログ」として嬉しいことにこのブログの名前をあげてもらったのですが(おもしろい爪切男さんのインタビューとかしりこだまさんの話とかも載ってるので是非)このブログは今読むとゲイが女にクンニしてマジギレブログになってしまいました。今読むべきブログ、ゲイが女にクンニしてマジギレブログ。漫画で、レズがいきなりチンコ舐めててもやめろ!と思うと思う。物語の気持ちの話をしてる。

クンニにマジギレだけでは嫌なので漫画喫茶あるあるなのですが、深夜3時から4時にかけて来店してくるやつはヤバイ奴が多い。思いっきり貧乏ゆすりをしながら入店してきて、人間って歩きながら貧乏ゆすりできるんだと思いながらそんなことは顔に出さずにできるだけややこしいことにならないようにその時だけ一番いい声で「いらっしゃいませ」を出すと早速何が気に入らなかったのか「なんだその態度は!?」とブチギレてきて、いい声が仇になったと思いながら「申し訳ございません」と言うと「俺さ、この漫画喫茶使うかどうか決めたいからさ!あの前のソファーでちょっと考えていい!?ねえ!?」と言って勝手に店の前のソファーで寝出して困ったなと思って10分ほど放置しても店にこないので確認したら思いっきり寝てたので「お客様困ります」と体をゆすって起こしたら手をはらわれ「うっせえなあ!」と怒鳴れる。困ったので警察を呼んでどかしてもらったらそのヤバイ客が「またくるわ!!!」と言っていたので「出禁です!」と伝えたらめちゃくちゃ可愛い顔で「え!?」と言ってた。

ひげだらけのヤバい奴まるだしなのになんでそんなピュアなリアクションができるんだ。あとは前も書いた気がするのだけど会員カードに自分の名前を書くときローマ字で書く奴はまともなやつがいない。普通書かないでしょ。この前深夜の3時頃に来店した客が会員カードに名前を書くときに「J」とだけ書いていた。うわ!!と思って顔を見たら一見そんなに変ではない。普通のサラリーマンみたいな感じなのに、会員カードには「J」。
そいつの名前を調べると、山野 徹 みたいな普通の名前。どこにも「J」の要素はない。「J」はヤバイ。今すぐ出禁にしたいと思っても「すいません。お名前が「J」ですので・・」と言って出入り禁止にできるほどここのバイトも甘くはない。しぶしぶ「J」を入店さすと、「J」は一人なのにペアブースを指定してきた。ペアブースはおひとり様で入ってもふたり分のお金がかかりますがと説明しても「OK」としか言わない。もう終わったと思いながらそいつをペアブースに通して、帰った後に掃除にいくとめちゃくちゃまっすぐONEPIECEのほぼ全巻が塔のように建てられていた。ふざけんな「J」。
2時間で読みきれるわけないだろ。ONEPIECEを塔にして帰るなよ。あと普通にシコってたティッシュも置いてあった。ナミで?大人が?。二度とこないでほしい。
by akuta-seiryou | 2016-03-05 10:39 | 色々


<< MCバトル あー >>