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剣道部での女子からの糾弾

僕の中学生活はヤンキーとの攻防にまみれるだけの中学生活ではありませんでした。女子達との長い戦いの3年間でもあったのです。

僕が初めて人を好きになるのは高校3年生の時になるのですが、それまで誰か他人を好きになるということは一切ありませんでした。皆さんのクラスにも「こいつ好きな人とかいないのか?」と思うほど周りを気にしていない容姿の人がいたかと思います。僕もそういう存在でした。野球部でもないのに年中丸刈りかスポーツ刈りにしており、服も毎日ほとんど同じもので、太っているので常に汗をかいている。そうなると放っておいても自然と女子からの評価は下がっていきます。

中学2年のころでしょうか、当時剣道部に在籍していた僕は放課後の部活前のある日、いきなり女子部員達に呼び出されました。そこには僕を強烈に睨みつけている同級生の女子、そいつをかばうように立っている同級生の女子、そして3年生の先輩の女子が立っていました。僕は事態をつかめずにいると、かばうように立っているそいつが急に「渡、この子の竹刀舐めたやろ」と言ってきました。

僕は舐めていませんでした。舐めていないので「舐めてへんよ」と事実を伝えると、すかさずそいつは「嘘つくな!」と言ってきました。何の正義感からなのか、ただ相当怒りを抱えている事だけはわかります。とにかく誤解を解こうと僕は「いやなんなんそれ。そんなんしてへんって」と言い続けました。それでもそいつは証拠はある、見た人がいる、などと言って僕を責め立てました。竹刀を舐めてないのに舐めたと濡れ衣を着せられている僕は、想像している以上の熱量にこれは真剣に誤解を解かないと学校生活が大変なことになると思いました。しかし何度強く「ほんまに舐めてへん」と言っても一切聞く耳を持ちません。その場の雰囲気から察するに、後ろで睨みつけているやつの竹刀を僕が舐めたという事になっているんだな、と理解しました。どこからそのようなデマが出てきたのかはわかりませんが、とにかく本当に舐めていないので、「舐めてへん」と言うことしかできませんでした。すると、その場にいた先輩が助け舟を出すようなテンションで「渡君さ、武道場の女子更衣室に入ったっていうのはほんま?」と聞いてきました。この先輩は女子の中で珍しく僕に優しくしてくれている先輩で、僕はこの人の中立な人柄に対する好意と信頼を覚えていました。おそらくはあらぬ疑いだった場合、そこから晴らそうとして言ってくれたのだと思います。しかし、僕が女子更衣室に入ったというのは事実でした。

ただ、通常女子がいない時、用がある際に限り、女子更衣室に入る行為は黙認されるという暗黙の了解のようなものはありました。僕はそれを逆手に取り、異様にキョロキョロしながら入って行って、換気だけをして出てくるという冗談を披露して男子の先輩の機嫌を伺ったりする際に入ったことがあっただけだったのです。僕は正直に、その事実を含めて説明しようと思い「入った事はあります」と言うと、それまで黙っていた僕に竹刀を舐められたと訴えているらしき女子が「死ね!!!」と僕に言ってきました。「死ね」。強い言葉です。仮に、竹刀を舐めたとして、死なないといけない。そんなことはないと思います。しかも今回は僕は舐めていない。こんなことありえないだろうと思い助けを求めて先輩の方を見ると、少し悩んだ顔をしたまま僕を見ていました。これはやばいと僕はさらに「いや、冗談で入っただけで」と弁明しましたが、さらに攻められ、あがけばあがくほどズブズブと体を持っていかれるだけでした。夏の暑い剣道場の中、いわれのない罪で責められている状況に頭がクラクラしていると、そいつが目を潤ませながら「岡本先生に言いに行く」と言いだしました。何を泣いているんだ、泣きたいのはこっちだ馬鹿がと思っていると、そいつはサササと素早く本当に向かう用意をしだしました。

当時顧問の岡本先生に何かを言われるというのは、非常に恐ろしい事でした。普段から※別の件で何度も怒られ続けている身としては、それだけは避けたい一心でした。ちょっと待ってや、と言っても待つ気配はありませんでした。僕はもう冷静な判断が出来ない状態になってしまい、残るはそいつへの怒りのみでした。俺はお前の竹刀なんか舐めていない、というかそもそもお前が俺のことを気持ち悪いとか言ってるのを知ってるぞ俺は、別に気持ち悪くない訳ではないからいいけど、かかりげいこや、俺と近い距離で当たって練習しないといけない時、露骨に嫌な態度を出したり、俺と当たる前に練習が終わったら「セーフ」みたいなのを言ったりして笑っているのも知ってる、ベタなバイキン的なやつをやって誰かにつけたりするみたいなのも知ってる、デブだなんだと俺に言ってきたりする時も、俺は泣いたか?泣いてない。そういう態度を俺は笑って突っ込んだり、無視してたりしてた。俺は別にお前を悪いとは思っていなかった。そういうものだと思っていた。実際俺は不快にさせてやろうと変な冗談をしたり、上半身裸で剣道場中を転がりまわってたりしていたから、お前の反応は正しかった部分もあった。ただ今回、お前は、自分勝手な勘ぐりで0から罪を作って擦り付けようとした、呆れる奴だ。そんなに俺が怖いか、憎いか、それなら別にもうお前なんてどうなったっていいし、俺もどうなったっていいという気持ちになり、僕は竹刀置き場まで走り、そいつの竹刀を取り、そいつを見ながら爆発するような気持で竹刀の握る部分を舐めました。

そいつは叫び上がり、近くにあった防具などをこちらに投げつけて走って顧問の先生を呼びにいきました。口の中には布と汗の苦い味が残り、先輩は信じられないものを見る顔で僕を見ていました。それだけが情けなかったです。

そのあと僕は顧問にひどく叱られ、「渡が私の竹刀を舐めた」という話を学年中に回され、僕は女子からの不人気を確固たるものとして確立させました。その時期あたりから女子の僕に対するヘイトは高まってゆき、僕の中に女子は「敵対するもの」という意識が植え付けられてしまいました。早熟な同級生たちが付き合ったりしているというのを見ると「中学生で付き合うってなんやねん。結婚すんのか?デートはイオン遊びにいくんか?」などといった挑発を口にして殴られたり、呆れられたりしていました。高校生になり、入学してすぐくらいに友達と帰っている時「俺実は、彼女と別れてん」と、入学すぐに付き合った同じ学校の女の子とすぐに別れたという話をされた時に「なんやねんそのスピード感」と思い、当時の僕はめちゃめちゃ笑いました。するとそいつはショックを受けた顔をして「ありえへんやろお前。なんで笑ってんねん」と言ってきました。
何か対応を間違えたらとんでもないことになってしまうと判断した僕は「ごめん、わからへんかった」と怖い謝り方をしてしまい、さらに引かせてしまうことになります。

中学時代につかみ損ねた他人との距離感、わからないままの冗談の範疇、様々な認識がずれている事に気づかないまま高校生に突入していきます。あまり長くしてもしょうがないので今回はここまでにしておきましょう。また次回。


※この前に、廊下にいた僕が友達に「これ踏んでみてや」と言われ小さな丸い球を踏み抜くと強烈な破裂音がして先生たちがすぐに飛んできて結果それが爆竹だった、という事件がありました。僕としては爆竹なんか見たのも知ったのも初めてだったので「知りませんでした」と岡本先生に言ったのですが「知らんわけないやろ。カエルに入れて爆発させて遊んだりしたやろが!!!!」とキレられて、今の子供がそんな野蛮な遊びをしてるわけないだろと強く思ったことがありました。


by akuta-seiryou | 2020-05-12 07:58 | 生きた記憶


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