怖いラッパー

この前夜勤のバイトに向かうために新宿を歩いていたらいきなり外国人に目の前でビームサーベルみたいなものを振られて「プーーー!!!」と言われた。

おそらく酔っているか何かで誰かを驚かせたかったところにたまたま僕が歩いてきたから咄嗟に驚かせたのだろう。僕は外国人の思惑通り「わあ!!」と言って大声をあげてしまい、外国人がケタケタと笑っていた。慌てる僕、笑っている外国人。そこで僕はなぜか咄嗟にこっちも笑いながらその外国人を指差して「イェ」と言ってしまった。

これが大層情けなかった。何が「イェ」なのか。男なら怒るべきだ。然として無視するのか、怒る、そのどちらかだと思う。僕の「イェ」は(これくらい何のダメージでもないですよ)という意味を含んだイェで、本当はとても驚いていたのに嘘のリアクションをしてしまっている。これは本当に情けない。ビビってないふりをして嘘で同じ土俵に立とうとしているのだ。全くもってかっこよくない。

これまで生きてきてずっとこういう人に唐突に絡まれることが多かった。最初は中学の頃からで外を歩いてると反対車線の歩道から僕に向かっていきなり「おいデブこら!!こっちこい!!」と知らないヤンキーに怒鳴られたり、最近では深夜の恵比寿を歩いていると前から睨みながら不良が僕に近づいてきて、思わず驚いたら笑いながらそのまま通り過ぎたりまた別の日に中野で「お前のことしってるねんぞ!マセキやろ!!」と謎のスキンヘッドの男に素性を少し知られた状態で遠くから絡まれたりした。もう嫌だ。そういうのは完全に見た目の情けなさで舐められているわけで、怖い外見だったりしたらほとんどはこんな目には会わないだろう。

僕はラッパーが好きだ。最近は中でも外見の怖いラッパーが好きでタトゥーをめちゃめちゃ彫っていたり、常に暴力的な雰囲気を発していたりする人が好きなのである。これはなぜかというと自分と真逆にある存在だから強く惹かれるのだろうなと思う。

この前新宿にKIDNATHANというラッパーにとても似ていて、おそらくそれらしき人がいたので、勇気を出して声をかけた。KIDNATHANという人は首元に大きくハンターハンターの旅団の蜘蛛のタトゥーを入れていて、ガリガリで悪そうな雰囲気がめちゃめちゃある人で、もし学生時代に出会っていたら100パーセント関わりになっていない、もしくはKIDNATHANさんの前で何か失敗したら苛められていただろうなといった雰囲気の人です。本当にこれはもうめちゃめちゃ勇気を出して「すいません、KIDNATHANさんですよね・・?」と声をかけたらきょとんとした顔をされた。終わったと思った。

KIDNATHANさん本人に声をかけるのはいい、もし無視されてもどんな雰囲気になってもそこまで最悪なことにはならないだろう。しかしKIDNATHANに似ているまったく別の人に声をかけてしまったとなると話は大いに変わってくる。ただのめちゃめちゃ怖い人だ。どうしよう、殺される。終わった。僕の死因はただのめちゃめちゃ怖い人をKIDNATHANだと思って間違えて声をかけてしまったことになるのだ。お母さん、奈良のお母さん。東京で調子に乗ってごめんなさい。と思っているとその人が「あ、はい」と言ってくれた。

僕はめちゃめちゃホッとして「ファンです!!」と言って手を出したら「ありがとう。ほんと、ありがとうございます」と言って強く握手してくれた。KIDNATHANさんは優しかった。

ホッとすると調子に乗ってしまうのが自分の悪い部分で「ああ、そうだけど」と言ってどこかに行ってくれるぐらいがよかったなあと思ったがよく考えると全然そんなことはなかった。ファン対応をしっかりしてくれて嬉しかった。ありがとうございました。新曲もかっこよかったです。

話が少しそれましたが、僕はこういう人に憧れがあるのです。首に旅団の蜘蛛のタトゥーを入れて新宿を闊歩するなって悪すぎる。自分を強く持っている。もし僕が首に旅団の蜘蛛のタトゥーを入れたら、まず即効でマセキ芸能社を解雇になりフリーになり、そこから首に旅団の蜘蛛のタトゥーを入れているからコントもうけずガクヅケも解散、見た目が太ってるしかっこよくないのでラッパーになれる訳でとなく、首の旅団のタトゥーのせいでバイトの面接も受からなくてもうどうしようもなくなり実家に帰る。実家は奈良なので奈良に住んでる首に旅団の蜘蛛のタトゥーがあるただのデブになるのだろう。どうしようもない。KIDNATHANさんの様な人生は僕が絶対に歩めない人生なのだ。

僕もそういう人生を歩んでみたい。今僕はジムに通っていて、その理由というのも彼女に「太りすぎ。醜い。もうええわ。ありがとうございました!!」と強制暗転ツッコミをされて彼女の目の前で「綺麗になりたい」とバレリーナのようにウォンウォン泣いて通いだしたという悪さからは程遠い理由なのですがこのおかげで今少しずつ筋肉がつきだしている。

筋肉がつくというのはかなり嬉しいもので、不思議と自信もつく。今日もお笑いライブに出演した時に本番前に矢野号さんに「明らかに痩せてるなあ」と言ってもらった。嬉しい。この前もフカミドリ杉山さん(※マセキの先輩芸人!!!)に「木田ほんと痩せたね」と言われてキュンとしてしまった。女だ。

この前実家に帰ったときに僕の「赤ちゃんノート」というのが見つかって僕が生まれる前や生まれたすぐ後のことをたくさん書いてあったので興味深く読んでいたのですが、そこに「お医者さんが80パーセント女の子と言っていたけど生まれたら男の子だった」と書いてあって産まれる前から僕がバイなのを予知していたのかと思ってゾッとした。

バイなのはいいのですが、とにかく僕は筋肉を増やして体をシャープにして悪いラップのPVを撮りたいのです。歩めなかった人生を擬似でもいいので歩んでみたい。今はそう思っています。終わり。

by akuta-seiryou | 2018-03-25 20:43 | 思い出 | Comments(0)


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