そのテンションのまま、朝
5時になって、このまま帰る感じでもないなとなって浅草周辺だとどこからでも見えるスカイツリーが錦糸町からも見えていたので、スカイツリーを目指して歩くことにした。
僕は歩くのが好きなので、歩くのが好きな人を見分ける嗅覚が少しあるのだが、新垣は予想通り好きそうだった。新垣君は沖縄の子で、2年前に東京に出てきてマセキに入った後輩なのだけども、僕は遠方の人と東京で出会う、というのが好きで「じゃあ2年前は沖縄にいたってこと?!今こうやって喋ってるのって2年前では想像もできないよね!!だって見ず知らずな訳だったしさ!!」と言いはしないが思う、テンションが上がる。今から3年後くらいに新しく知り合ってる人が今も確実にどこかにいる。今、蕎麦を食べてるかもしれない。コンビニで、まるちゃんのカップ蕎麦を買って、家に帰ってる途中かもしれない。帰り道、気をつけて..。
新垣とはどんどん歩いて、楽しかった。
僕が以前からいきたかった亀戸にある「DIVE」という24時間の弁当屋があり、そこにも行った。
そこは1キロ弁当というめちゃめちゃな量の揚げ物とご飯がぎっしり入っていて600円というすごいメニューがあるとのことで、それを買いたかったんだかども、なくて300円の弁当を買った。それを2人で分けた。近くの公園を探してベンチに座ったところ、大量の鳩がよってきた。
僕の彼女は鳩がすごく苦手で、よく一緒に歩いていたりして鳩がいると無言でものすごいリアクションをして鳩から離れたりしていて僕も最初は笑ったり、過剰だなと思ったりしている程度だったのだけど、いざそんなリアクションを見ているとだんだんと鳩が自分も苦手になってきてしまって、あの赤い目とか変なスピードとか動き方とかが少し怖くなってしまっていたところだったので、少し嫌だなと思っていると、新垣が「あの鳩見てください。片足ですよ」と指をさした鳩は実際に片足でジャンプしながら動いていた。
僕が見たところ足が真ん中にあるように見えて、事故で足がなくなったというより生まれつき一本足というふうに見えてしまい怖くなって「ここを離れよう」とベンチを立った。
スカイツリーまで歩いている時に、僕はずっと火花が好きなので「神谷さんみたいに振舞ってみたい」と言って無頼だけど人懐っこい、どこか危ない雰囲気のあるけど優しさもある神谷さんという先輩芸人の感じで接していたのだけど、不意にスマホの充電が残り30パーセントになってるのをみてしまって「あとでどっかで充電したいなあ」と言ってしまって自分で「充電したがってる。帰りの地図が不安やから」と冷めてしまった。
こういう感じで散歩してる時、なんとなくこのままどこでも行っちゃうよ、という感じがいいのに帰りのこととか心配してる感じがでるとテンションが下がる。あと神谷さんは後輩といる時「充電」とは言わないと思う。もし新垣が「どっかで充電したいです」と言いだしたら言いはしないけど嫌な気持ちになっていただろう。と思って「充電って言ってごめんね」と謝った。「はあ」と笑ってた。
しかし新垣は新垣で「急に後ろを振り向いて自分とすれ違った人が怪我をしたりしていないか確認しないと気になりすぎてそわそわするから確認する」という行動をかなり頻繁にしており「それをやめてくれ」と言っても「すいません」と言って我慢することはできてなかった。あれめちゃめちゃ変だった。
いっぱいお酒を買ってあげて一緒に飲んだ。
新垣は背も小さくて子供みたいなので、子供にお酒を飲ませてるみたいで面白かった。